Homeコラム都高六十年記念誌思い出あれこれ(3)

知的遺産の宝庫 有賀 昭宜

 図書館の司直室、わずか12uの広さ、この狭い空間からさまざまなものが生み出されてきた。 その一つを思い出として紹介します。

 一九六一年、第十六回記念祭に展示参加するため、当時の図書委員が都高で発行されたパンフレット等を集め始めた。 目的は”都高ではどんなものが発行され、どのような考えが発達してきたのかを追求するため”(図書館報「緑陰」12号)資料提供を卒業生、教職員に呼び掛けた。 記念祭終了後、「緑陰」12号に”移行”(編者注:原文のママ、遺稿が正しいのか?)という形でまとめられた。 この資料は数年死蔵されていたが再び整理公開しようという声が図書館内で持ちあがり、先ず分類表作りから取り掛かった。 都高独特の資料が多い上に、パンフレット類の発行者がどういう組織か、また、この組織がどこに位置するものかの難題に何度も突き当たった。 生徒発行のものを主体にしたため、最終的には、自治会、校友会、クラスマッチ、同窓会、記念祭、旅行、刊行物、委員会を大項目とし、このなかに全資料を分類した。 最大の難問は日付けが入っていないものの年代判定、文を読んでも最後までわからなかったものが何点かでた。 結果「校内刊行物一覧」として一冊にまとめられた。 初めに触れたように、収集整理のもとになったことは当時の図書委員が都高の”知的遺産”の集積をしよう(「緑陰」11号)ということで始められた。 とかくゴミ箱に直行しがちな資料の収集は大変なことだったろうと感心させられる。 集められた資料の中には地方の公共図書館から”是非保存資料の一部にしたいから送ってほしい”と依頼のあったものもある。 今考えてみると図書館と生徒のつながりは極く一部の生徒に限られていた。 しかし、集められた資料を整理しながら顔も知らない多くの卒業生の考え方、人となりを文字を通して知り得たことは一つの喜びであった。 今後も集められると思うが都高の一面をのぞかせる”知的遺産の集積”となることをねがっています。

(旧職員)
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