Homeコラム三善晃さんを偲んで(3)

三善晃君を偲んで

23年理4 皆川達夫    

 三善晃君が世を去られた。日本の、いや世界の音楽界にとって大きな損失である。彼は東大の学生時代から作曲家として頭角を表わし、独特の書法による作品を次から次と送りだしていった。その合唱作品は全国の合唱団にとって不滅のレパートリーであり、支倉常長を題材にしたオペラは今年再々演が予定されている。更に多くのすぐれた後進を育成し、桐朋学園学長、東京文化会館館長として教育面、文化行政面での貢献も大であった。

 府立以来、彼は同じ道を歩む先輩として私をもり立ててくれ、ある時は互いに敬意の念をもって、ある時は互いに皮肉を交し合う仲であった。府立の記念祭のおり私は、彼を女形(シラー作『ドン・カルロス』のエヴォリ公女)に仕立てて演技指導した。それから彼は事あるごとに、「皆川さんはボクに、女ってもんはこうやって笑うんだよと教えてくれたんだ。ウフフフ・・・・・」と、ジェスチュア入りで言いふらされて閉口した。彼の人なつっこい笑い顔は、今なお私の心の中に生き続けている。三善君、もう一度戻ってきて、あの笑い顔を見せ、新しい作品を聴かせてくれたまえ。

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