学生演劇の草創期

2期 堀内茂男  
演劇部

 一九五〇年頃、まだ飢えが日常の一部だった日本で、先ず精神的飢餓の克服を目ざす動きが、全国、あらゆる分野で澎湃(ほうはい)として起こりました。

 文化的鎖国状態だった日本に、欧米の新しい文学がどっと流入した事が、刺激になっていたと思います。

 人間探究の集団的活動として広い支持を得る事ができた学生演劇の花が開いたのは、そんあ時代背景の中です。

 私達の先輩に当たる、旧制都立高校の演劇活動は、記念祭行事の公演を軸に、目覚ましい成長をとげ、そのグループでの一つは、卒業後、「感覚座」という劇団を設立し、新しい表現主義を標榜して、数年間、活発な講演活動を展開しました。

 その後を追った私達が、同じく卒業後、劇団「マスカラ」を旗揚げしたのは自然な流れでした。 目ざしたのは、翻訳劇一辺倒の時代に創作劇上演の場を作る事と、詩劇の現代的可能性を追求する事でした。 ほぼ10年間続いた劇団の原点は、本校の演劇活動の中にあったのです。

(同窓会報 2007年9月号からの転載)   

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